毎年4月23日は「子ども読書の日」とされ、5月12日まで「子ども読書週間」が続きます。全国の学校や図書館をはじめ、子どもたちが本に触れるイベントなどが催されます。
本は時間・場所といった物理的な制約を超えて、様々な知識や情報をもたらし、読む人の心を動かす力を持っています。
昔話の登場人物から優しさを学んだり、世界各地の文化の違いを楽しんだり、いろいろな生物の生態に感嘆したり…。未知の世界に触れる窓口となる存在です。
本を作る身としても、国を問わず、たくさんの子どもたちに本に触れる楽しさを知ってもらえたらと願っています。
しかし今、世界に目を向けると、紛争での死傷、飢餓、暴力や剥奪といった危険にさらされ、住む場所も追われる。読書など夢のまた夢という現実を生きる子どもたちが多数存在します。
こうした子どもたちの危機的な状況は悪化の一途をたどり、国際的な問題とも言われています。
どうぜ本を読んで新しいことを知るなら、素敵なことがいい。これ以上辛い現実を見ていたくない。
子ども、大人を問わず抱いてしまう正直な気持ちだと思います。
しかし、自由に本が読める社会に生きているのなら、素敵なことも悲しいことも含めて、たくさんのことを考えるきっかけを大切にするべきではないでしょうか。
世界に暮らす色々な人たちのこと、それぞれが作ってきた素晴らしい文化のこと。
繰り返される悲惨な歴史や苦しめられた人たちの存在。
本はさまざまな視点から読者に語りかけ、出会ったことのない人々の輪郭を浮かび上がらせます。
そこから見える景色を眺め、聞こえてくる声に耳を傾け、自分の心は何を感じるのか。何を願い、どのように自分の行動に引き寄せられるのか。
本は、一個人として他者や社会に関わる姿勢を作るきっかけにもなります。
その前提として、本を作る側の心構えが問われます。
知識を超えて、見知らぬ誰かに心を寄せられる。
私たち戸田デザイン研究室も、そんな作品づくりに益々励んでいかなければならないと思っています。
子どもたちはもちろん、全ての人が心から読書を楽しむことができる。
そんな世界を願って。
